2000年公開。日本でも話題になった本作は非常に評価の分かれる作品である。
ビョークの歌、挿入されるミュージカル、悲劇的な結末。
確かに話題性はあり、ある人々にとっては深く考えさせる映画という印象を与えるものかもしれない。
悲劇的な状況にある女性が悲劇的な結末に向かって愚かな行為を繰り返しつつ自己反省もなく現実逃避しながら突き進んでゆく。
そこに何を見つければよいのか。そこから何を受け取ればよいのか。
映画に限らず、表現物全般に言えることなのだが、「感情の誘導」を意図して作られたものには、あざとさを感じずにはおれない。
トリアー監督はデンマークの新鋭監督であり、確かに映画界における評価は高いが、どうも「芸術家気取り」が鼻についてしまうのである。
ビョークが好きな人、カトリーヌ=ドヌーヴが好きな人、不思議ちゃんが好きな人、「変わったものが好きだ」と人に言いたい人にはお奨めだが、それ以外の人にはお奨めできない。