1967年の作品。
若い二人の恋の物語。・・・ではあるが。
全編を通じて流れるサイモン&ガーファンクルの素敵なメロディーと、あまりにも有名なラストシーンのおかげで、この映画には純愛のイメージが付きまとうが、そんなものではない。
不倫あり、ストーカー行為あり、全くもって純愛とはかけ離れたものなのだ。
金持ちのぼんぼんで優等生、そして童貞のベンジャミンが帰郷し、ロビンソン夫人に誘惑されて不倫関係に。
そしてあろうことかその娘エレーンに恋をし、不倫関係は周囲に知られるところとなり、本当にぐだぐだになってゆく。
ストーリー自体もバランスが悪く、エレーンとベンジャミンのキャラクターがしっかりしていないため、「なんでそうなるの?」という非現実感が浮き立つのも事実である。
しかし、だ。そんなことも含めて、やはりこの映画は名作なのだ。
最後の教会からエレーンを連れ出すシーン。そしてバスに乗った二人の、喜びと不安の入り混じった表情。バックに流れるのは「Sound of Silence」
「映画を観た。」という後味を心地よく残してくれる作品だ。
余談ではあるが、ロビンソン夫人役のアン=バンクロフトの演技にも注目してほしい。大人の女とはこういうものだと教えてくれるだろう。ちなみに彼女は昨年の5月に惜しくも亡くなられている。