1961年の作品。
当然、全編が白黒で音声もモノラル。
いわゆる「映画」という言葉で僕たちが想像する、リアリティーに溢れ、イメージを自然に喚起してくれるものではない。
本を読むときの感覚に似ていると言えばよいのだろうか。
観るものが、それぞれの感覚によって解釈を施し、色をつけ、イメージをふくらませる。
あらゆるものが「便利」になり、それを当然と思う現代では、ある意味で必要な映画なのではないかとも思える。
さて、この映画、一言で述べるならば「イライラするような三角関係の話」である。
原題の「JULES et JIM」というのはジュールとジムという二人の男のこと。
彼らは小説家であり親友でもある。同じ女を好きになり、そこから物語が展開してゆく。
フランス映画にありがちな、恣意的な難解さはない。すべて単純で、そしてもどかしく、自分自身の中にもある同じような弱さをそこに重ね合わせてしまう。
だからこそイライラするのだろう。
とにかく、弱い人間像を楽観的に明るく描いたこの作品、時間が余ったときに観てみることをお奨めする。
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監督のフランソワ=トリュフォーは、「未知との遭遇(S.スピルバーグ:1977)」に出演している。興味のある人はどうぞ。