1980年代の中南米エルサルバドルにおける内戦を、少年チャバを中心にして描いた力作。
いわゆるスラムの粗末な木造の家の中を銃弾が飛び交い、子供達はうずくまって耐える。
どれだけ身を低くしても、どれだけ身を縮めても、銃弾を防ぐものなど何もない。
12歳になれば政府軍に徴用される。
あるいはその前に農民ゲリラに参加するか。
それが彼らの現実であった。
それでも、子供達は無邪気に遊び、かわいらしい恋をする。
明るい未来など待ってはいないのに。
必然として起こる戦争はあるが、正しい戦争などどこにもない。
だからこそ、僕らは戦争を起こさぬよう、そして戦争に加担せぬよう、他の何かを犠牲にしてでも努力せねばならない。
同時期に公開された「ホテルルワンダ」と比較されることが多いが、かの作品とは全く異質のものであり、戦争というものの本質をより深く掘り下げたものとなっている。
この平和な日本で暮らしている全ての人、そして特に右翼的傾向を持つ人に、ぜひ観て欲しい作品だ。
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