中国とアメリカが核を打ち合い北半球が滅亡した後の世界を描いた作品。
劇場映画ではなくTVMなので、セットがやや陳腐と言えば陳腐だが、アーマンド=アサンテやレイチェル=ウォードなど好演技が光る。また、舞台はオーストラリアで、その自然や風景も堪能できる。2話で3時間半はちょっとキツイが。
序盤はやや間延びしている感が否めない。というのも、核戦争があった直後なのに、そんなにのんびりしていないだろうと。市民も全くパニックになっていないし。まぁ、それがオージー気質というものなのか。ただ、エンディングに向かっては徐々に混沌と絶望が押し寄せる。暴徒と化す人々、放射能障害で苦しむ前に自殺する人々。そしておそらくは誰も生き残らないであろうという余韻を残してエンディングを迎える。
こういった状況になった場合、僕らはきっと同様にモラルハザードを起こすだろう。この一見安定した社会の中で仮面を被っている人々が、おそらくは真っ先に。オージーは、多くの人が自殺を選ぶようだ。だが日本ではそうならないだろう。きっと醜く生にしがみつく。それが人間の本質なのだからそれでよいのかもしれないが。
東アジアの情勢がにわかにきな臭くなってきた昨今、全くのフィクションと片付けてしまえないこの作品。地震などの災害についてもそうだが、可能性のある災厄に対しては少なくとも心構えだけはしておきたいと思う。いくら心配性だと言われようが、起こってしまってから考えるよりはマシだから。
*オージーといえば、さすがにオージーイングリッシュが耳につく。聞き苦しくはないがちょっとした違和感が。潜水艦の乗組員はアメリカ人の設定なのだが、みんなオージーイングリッシュを喋っている。エイハブ船長(白鯨の)がアイハブになっていたり、トゥデイがトゥダイだったり。さすがはオージー、アバウトだ。
*全くの余談だが、メアリーを演じたジャクリーン=マッケンジーがとてもチャーミングで、外人さんと結婚したくなった。
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