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~古今東西の映画レビューを若干辛口で~
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a6e3ce60jpeg 原題は「Bonnie and Clyde」。刑務所帰りの男クライドと、人生に退屈していたウェイトレスのボニーが、銀行強盗をする物語。

 クライドにはウォーレン=ビーティー、ボニーはフェイ=ダナウェイ、クライドの弟役バックにはジーン=ハックマンと、豪華なキャスト(と言っても、この映画がきっかけでブレイクしたのだが)を揃えている。

 

 ラストシーン。ボニーとクライドが87発の弾丸を受けて踊るように死んでゆく。そこで「THE END」。

 ウォーレン=ビーティーがかっこよすぎる。

 

 この映画は1930年代のアメリカで実際にあった事件を元にしている。

 1930年代といえば歴史の教科書にものっている「世界大恐慌(1929~)」の真っ只中であり、アメリカ全土に失業者が溢れていた。その責任を権力や体制に求める民衆は、新聞を賑わす連続銀行強盗「ボニーとクライド」を、ヒーローとして扱ったのである。

 法体制とその運用システムが確立していない時代。その中に見える人間の本質が、現代に失われてしまった個の輝きを映し出している。

 平等と忍耐、権利と義務、行動と評価、そういったものを僕たちはどう捉えるべきなのか。改めて考えさせる作品だ。 

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c5e2bf46jpeg「In This World」は、アフガニスタン難民の少年ジャマールがロンドンまで辿り着く過程を追った映画だった。

 パキスタン~イラン~トルコ~イタリア~フランス~イギリス

 アフガン難民には当然、パスポートやビザなどはない。それぞれの国で、密入国業者を頼り右も左も分からぬままに次の国へと渡ってゆく。ある時はバスで、ある時はトラックの荷台で、ある時は徒歩で。

 エンディングロールの前に、こんな字幕が出た。

 「主役を演じた少年は、難民保護法の適用が受けられず、18歳の誕生日に本国に送還されることになっている」

 ジャマールは本名であり、彼は実際の難民だったのだ。

 

 この映画は実話を元にしている。実際にはアフガン難民でなく、中国人密入国者58人が貨物コンテナの中で死亡した事件がベースなのだが、それは2000年、たった7年前のことなのだ。

 僕らの世代でいうアフガン難民とは、1979年の旧ソビエト連邦のアフガン侵攻によって生じたものと理解している。1990年代には500万人以上が難民として隣国に流出している。アフガン紛争は1992年に終結したものの、アフガンの経済基盤、インフラは国連や国際社会の援助を受けてもなお、その国民を維持することができるはずもなく、難民数は漸減するに留まっていた。そこへもって、2001年の同時多発テロの報復としてアフガンへの攻撃があり、再び難民が増加する結果となった。

 現在、世界中で約1500万人の難民がいると言われている。これは東京都民1200万人よりも多い。そして、戦禍によって取り残されるのは女性と子供達だ。


そんな現実を理解したうえで、この作品を観てもらいたい。淡々と進んでゆくストーリーの中に、多分何かを感じ取れると思う。 

2d93e429jpeg「地獄の黙示録」は、『大義』と『人間の本質』との対立を描いた作品のように思える。何が集団の中で正しいことなのか。何が個人として正しいことなのか。そして自分自身のなすべきことは何なのか。

 普通に生きている限りその答えは出ないかもしれない。いや、そんなことを考える必要すらないかもしれない。

~そもそも、僕たちは集団の中で一つの個として認識されているのだろうか~

 自分が生きていること、そして自分が生きていたこと。特別でなくてもよいから、そのことで何かが変わることを、他の誰かが幸せになれることを願う。それは幸せな人間の特権なのか。

 映画の中でのウィラード大尉もカーツ大佐も、その行動はともかく行動原理はその願いだったように思える。そして、それこそが人を強くし、自分自身を認めうる唯一の手段ではないかと思うのだ。

「自分が人の中で、社会の中で生きてゆくときに、何を大切にしたらよいのだろうか?」そんな疑問を持つ若者に是非とも観てもらいたい作品だ。 

24061c3bjpeg大人のための映画である。

20代で観たときには、「いい映画だなぁ」で終わった。

最近やっと、サルバトーレ(トトではなく)の感情に自分が同化できるようになった。


完全版は劇場公開版を台無しにした、と評価されることが多いが、僕はそうは思わない。

余計な部分、汚い部分、蛇足と思われる部分も含めて、トルナトーレ監督がイメージしたものを受け取る。それでいいのではないかな?人間くささが出ていて僕的には好ましい。


全編を通じて流れるエンニオ=モリコーネの曲も、いつまでも耳に残る名作である。



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