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~古今東西の映画レビューを若干辛口で~
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609b1e5fjpegグーニーズのコニー=フェルドマンつながりで。

~彼はやはりいい味出していた。メガネっ子のいつも口を尖らせて皮肉を言うちょっと斜に構えた少年。~


この作品は、ある作家の回想として少年時代のちょっとした冒険を描いたもの。

笑いあり、友情あり、スリルあり。
でもそれはきっと少年だからこそ感じられたもので、同じことが今の僕に起こったとしても同じようには感じられないのだろう。

つまりそれこそがこの作品の魅力であり、全編を通じて少年時代への懐かしさ、失ってしまった何かに対する喪失感が溢れている。

そしてベン=E=キングのスタンド・バイ・ミーが、この映画を名作に押し上げた。やはり映画と音楽が一体化すると最高のシナジーが生まれるのだろう。


*クリス(少年達のリーダー)役のリバー=フェニックスは23歳の時にオーバードープで死亡している。

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b2ce1065jpeg 『セントラル・ステーション』のウォルター=サレス監督
『天国の口、終わりの楽園』のガエル=ガルシア=ベルナル主演


やはりロードムービーはいい。
そう思わせてくれる作品。

広大な大陸と遥かな山並み、そして抜けるような空の薄水色に、普段心の底に押し込めている若き日の情熱を呼び覚まされる。


チェ=ゲバラをガエルが演じると、こんなにも爽やかになるのかと、多少の戸惑いと感心を覚えるのだが、彼の思想の根底にあるものがこういった旅であるとか、持病の喘息であるとか、出会いであることがきちんと伝わってくる。

自分の周りにあるもの、自分自身、目に映るものを飲み込み、吐き出す。その行為は時に不遜さを伴わなければ変化を生み出さない。

自分の器を知り、身の程をわきまえる。それが唯一の道ではないと彼は知っていた。


資本主義・民主主義と呼ばれるものが実際には地主-小作体制の表面的変質に過ぎず、マルクスの描いた理想こそ求めるべき新体制ではないのかと、青い夢をまた見てしまう。

人はゲバラのように生きるべきか。

きっと僕が生徒にそう教えることはないだろう。
ただ、心の中でのみそう願う。

4346baa1jpeg1984年 米

重い。娯楽映画を観る感覚で入ると受け止めきれない。

特に後半部分の大量の人骨のシーンは、体が嗅覚を反射的に麻痺させようとするくらいのリアリティーを持っている。


クメール・ルージュ=ポル・ポト派を知っているだろうか。
1975年から1979年までのわずか4年間に、自国民700万人のうち80万から330万人とも言われる大量虐殺を行ったカンボジア共産党の別名である。
知識を持っているものは悪であるとし、農村への移住と強制労働、飢餓によりそれだけの自国民を結果的に死に至らしめた。

これは同様に共産党政権下の中国における文化大革命の影響を受けたものであろう。こちらでは数百万から数千万とも言われる人が10年ほどの期間で所在不明になっている。


そういった現実を、映画というフィルターを通して第三者的に眺めることには後ろめたさを感じざるを得ないが、少なくとも、こういったインパクトを受け止め、そして記憶にとどめておくことが、国民から乖離しようとする政治に対する抑止力となるのではないかとも思うのである。


作中でプラン役を演じたハイン・S・ニョールは、素人俳優である。だが、彼が実際に体験した4年間の弾圧と強制労働が、彼の演技を深いものにしていることは間違いない。


余談ではあるが、彼は80年にアメリカに渡り、96年にロスの路上で強盗により射殺された。
強制労働を生き残った彼がそういった死に方をするというこの人生の皮肉には、何かやるせないものを感じてしまう。


ぜひとも心の準備をしてから観てほしい。

55e223d9jpeg1968年の作品。原作はアーサー=C=クラーク。


誰もが楽しめる映画ではない。特に女性にとってはあまり魅力を感じられないテーマかもしれない。テンポも遅いので、じれったく退屈に思う人もいるかもしれない。

 

本作品はスタンリー=キューブリックのSF3部作のひとつであり、彼の『映画』に対するこだわりを十分に堪能させてくれる。(他2作「博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」「時計仕掛けのオレンジ」)


メインの舞台は題名どおり2001年であるが、400万年前の人類がまだ知性を獲得する前の描写から始まり、2001年の月面、そして木星へ向かう宇宙船、さらに本作中最も意義深い異次元場面へと移行する。

象徴として、手がかりとして、本作中にまさに埋め込まれているのは『モノリス』。これが何を意味するのかは、作品を観て判断してもらいたい。また、原作を一読してから本作を見るのも一つの正しい手順かもしれない。

 

作中に効果的に使われる楽曲は、リチャード=シュトラウスの「ツァラトゥストラかく語りき」の冒頭部分とヨハン=シュトラウスの「美しく青きドナウ」である。

これらの楽曲が、人類の誕生と宇宙の広大さ、神秘的な雰囲気を見事に増幅させている。


原人の演技、宇宙船内の女性の演技など、少々不満な部分もあり、また、HAL9000がなぜ反乱を起こしたか、そもそもその設定を組み込む必要があったのかという疑問もあるが、それらも含めてこの時代の作品としては抜きん出ており、この映像美と楽曲の組み合わせには感服せざるを得ない。CGを全く使用せずにここまでの映像を撮れるとは。


40年前に、クラークが思い描き、キューブリックが観せた世界。新世紀を迎えた人類が到達しているであろうと期待した世界。

2006年、僕たちはまだこんな場所にいる。


薀蓄1:「ツァラトゥストラかく語りき」は、カラヤン/ウィーンフィルであった。(「美しく青きドナウ」はエンディングロールに指揮者/演奏者が載っているが、なぜかこちらは載っていない。)
薀蓄2:HAL9000(宇宙船のコンピューター)の名前は、IBMを一文字ずつ前にずらしたものと言われている。

947585cejpeg1963年の作品。

いわゆる「普通の映画」ではない。

全編セリフなし。吹き替えの歌がセリフの代わりになっている。


フランスは、1954年から1962年まで第2次世界大戦後の植民地問題としてアルジェリア戦争を経験している。

この映画の撮影は、まさにその只中に行われた。


ジュヌヴィエーブとギイの若さ溢れる恋と、戦争に弄ばれる二人の関係、そしてその結末は…


古い映画を観慣れていない方にはやや退屈かもしれないし、ミュージカルに精通している方には物足りないかもしれない。

ただ、カトリーヌ=ドヌーヴの魅力とミシェル=ルグランの曲は、そしてガソリンスタンドのシーンは、人生に何かを付け加えてくれるだろう。

なにも考えずに、なにも期待せずに、一人の夜に観てほしい。



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