もしこれが「マゾの宅急便」だったら。
箒から落ちたり、お届け先でネチネチと小言を言われたり、そういったことに快感を覚えるのだろう、きっと。
と、不謹慎なことを考えていたのだが、ちょっとネットで検索してみると出るわ出るわ…。
やはり同じことを考える人はたくさんいるのだな。
そんな薄汚れた大人になってしまった僕にも、この作品は感動を運んでくれる。
キキが街へ出て、子供から大人へ変わる数日間を切り取ったこの作品。
「なんとなく飛べる」から「飛びたいから飛ぶ」への変化は、僕らが成長してきた過程とかぶるものがある。
できることを普通にしているだけでは、人は成長しない。
できないことをできるようにするから、人は成長するのだろう。
ふとしたことから魔法が弱くなり、飛ぶこともジジの言葉を聞くこともできなくなったキキが、友達のトンボを助けたいと願い、デッキブラシで空を飛ぶ。
そして見事に空中でトンボをキャッチ。
このシーンは何度観ても心地よい。
ジジの言葉は結局聞けるようにならなかったのだけど、それは僕たちが少年少女時代に置いてきたいくつかの感性を表現しているのかもしれない。
懐かしい気持ちにさせてくれる映画だ。