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~古今東西の映画レビューを若干辛口で~
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3304676bjpeg1967年の作品。

若い二人の恋の物語。・・・ではあるが。

全編を通じて流れるサイモン&ガーファンクルの素敵なメロディーと、あまりにも有名なラストシーンのおかげで、この映画には純愛のイメージが付きまとうが、そんなものではない。

不倫あり、ストーカー行為あり、全くもって純愛とはかけ離れたものなのだ。


金持ちのぼんぼんで優等生、そして童貞のベンジャミンが帰郷し、ロビンソン夫人に誘惑されて不倫関係に。

そしてあろうことかその娘エレーンに恋をし、不倫関係は周囲に知られるところとなり、本当にぐだぐだになってゆく。


ストーリー自体もバランスが悪く、エレーンとベンジャミンのキャラクターがしっかりしていないため、「なんでそうなるの?」という非現実感が浮き立つのも事実である。


しかし、だ。そんなことも含めて、やはりこの映画は名作なのだ。

最後の教会からエレーンを連れ出すシーン。そしてバスに乗った二人の、喜びと不安の入り混じった表情。バックに流れるのは「Sound of Silence」

「映画を観た。」という後味を心地よく残してくれる作品だ。


余談ではあるが、ロビンソン夫人役のアン=バンクロフトの演技にも注目してほしい。大人の女とはこういうものだと教えてくれるだろう。ちなみに彼女は昨年の5月に惜しくも亡くなられている。

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8195fe3bjpeg1961年の作品。
当然、全編が白黒で音声もモノラル。

いわゆる「映画」という言葉で僕たちが想像する、リアリティーに溢れ、イメージを自然に喚起してくれるものではない。

本を読むときの感覚に似ていると言えばよいのだろうか。

観るものが、それぞれの感覚によって解釈を施し、色をつけ、イメージをふくらませる。

あらゆるものが「便利」になり、それを当然と思う現代では、ある意味で必要な映画なのではないかとも思える。


さて、この映画、一言で述べるならば「イライラするような三角関係の話」である。

原題の「JULES et JIM」というのはジュールとジムという二人の男のこと。

彼らは小説家であり親友でもある。同じ女を好きになり、そこから物語が展開してゆく。


フランス映画にありがちな、恣意的な難解さはない。すべて単純で、そしてもどかしく、自分自身の中にもある同じような弱さをそこに重ね合わせてしまう。

だからこそイライラするのだろう。

とにかく、弱い人間像を楽観的に明るく描いたこの作品、時間が余ったときに観てみることをお奨めする。

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監督のフランソワ=トリュフォーは、「未知との遭遇(S.スピルバーグ:1977)」に出演している。興味のある人はどうぞ。

fd808552jpegまともな人間は観ないほうがいいと思う。

というのも、きちんとした生活ができている人には何の魅力もない映画だから。

人間は弱い。

とても弱い。

自分がまともな生活ができているのは、そういう環境に生まれたからであって、偶然に過ぎないのに、高いところから「正しいこと」「理想論」を語る人たちは、この弱さを理解することができないと思うし、一生汚いもの、「悪い」ものから離れて暮らせばいいと思う。

だけれども、こういう世界が(多少のデフォルメは当然あるにしても)実際にあることを認識し、HIVやコカインもリアルなものとして捉えることができるなら、きっと何か考えるところがあるはずだ。

娯楽映画としての楽しみは、ベグビー役のロバート=カーライルのキレ役。
ユアン=マクレガーが評価されがちだが、存在感として明らかに重みがない。まぁ、こんな人間はたくさんいそうだが。

何の解決も提示しない映画であり、映像と音楽(イギー=ポップ、ルー=リード)を楽しむものかもしれないが、完全な娯楽映画でないことだけは確かだ。



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