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~古今東西の映画レビューを若干辛口で~
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e7a90102jpeg部屋の中で12人の陪審員が討論をする。
それだけの話。

大きな感動や見せ場はない。

 

現代の法治国家における裁判制度は「疑わしきは罰せず」という命題を矛盾とともに抱えている。

社会にとっては疑わしきも含めて罰することが前進につながるが、個人にとってはそうではないからだ。

この作品では、あくまでも個人の視点でこの命題を捉えている。提出される証拠は本当に信頼できるのか。信頼できない証拠によって有罪とすることを自分自身は許せるのか。

「有罪」か「無罪」かではなく、「有罪」か「有罪とは言いきれない」かをこの十二人は決めていった。

 英語での判決は、「guilty」「not guilty」である。そこに、裁判というものの本質を見ることができる。

 

日本でも陪審員(裁判員)制度が導入される。

個人の強さが疑わしい日本においてこの制度を導入することは時期尚早ではないかとも思うが、もし自分がその責を負うことになったとしたらもう一度この作品を観てから法廷に向かいたいと思う。 

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26e7a926jpegあんまり期待しないで観たのだが、完全にやられた。


過激は暴力シーンが多いので、受け付けない人もいるだろう。けれど、これは現実なのだし、そういう部分から目を背けていられる人はそうすればいい。

人間の根本的な欲求は留まるところを知らない。自分が一番になりたがり、そのためには他人の生やましてや幸福など知ったことではない。

不幸ではないと言えるくらいの生活は、現代日本の誰もが簡単に手に入れることができる。

しかし、他の国ではそれが当たり前のことではない。そこから抜けだすために、地道に働く人はもちろんたくさんいる。けれど、自分の内なる欲求が大きければ、そんな悠長なことは言っていられない。それが社会の中で正しいとか、善だとか、そんなものは簡単に飲み込まれてしまうものなのだ。


監督が何を思ってこれを撮ったか、そんなことはもはやどうでもよろしい。

確かに、「映画」としても完成度は高い。入り方とつなげ方、時間軸の使い方、カメラアングル、音楽、どれを取っても文句のつけようのない作品だから。

それでも、それ以上に観て感じるもの、「差し込まれた」感がぐっとくる。


やられた。

ちなみにこれは実話である。

47bafecbjpeg1978年製作。183分。


良くも悪くも「ロシアンルーレット」がメインとなる映画。テーマとしても、シーンとしても。


3時間という長編であり、退屈な部分もある。もっと短くできたかもしれない。分かりやすくするために。ただ、何かをシンプルに伝えることだけが目的であれば映画でなくともよいのではないかとも思う。そうでないからこそ、映画なのだろう。


友情の重み、死と秤にかけてもなお重いもの。それはこの時代の日本に住んでいる我々にとっては所詮関係のない命題である。しかし、自身の生涯においてそういった選択を迫られることがないとしても、価値観として、理想論としてでもいいから持っておきたいものだと思う。


観終わった後は確実に疲れていると思うが、70年代を代表する作品として観ておくだけの価値はある。

3e63dabdjpeg1951年の作品。この時代の映画には、監督の想いが込められ滲み出ている。それをどう受け取るかは人によって異なるが。


「死」と「別れ」。

それをいつどのように理解するのか。


いろいろな死を十字架遊びとして扱う幼い二人。それぞれに肉親の死を抱えながらも未だ「死」を受け止めきれない幼い心。


有名なラストシーン。

ポーリーンが叫ぶ。

「ミシェール!」
「マーマ!」
「ミシェール!」

ミシェルとの生き別れとママとの死別。そこになんらかの違いがあったのだろうか。


感情移入しなければ単なる古典名作として楽しむこともできる。ただ、ナルシソ=イェペスの名曲に心を煽られながら、ポーリーンの視点で観るとおそらく何かがそこに加わると思う。

dbd6444cjpegオリジナルは1942年製作。

僕が観た中ではもっとも古い作品。なんせ第2次世界大戦中に撮られたものだから。


まずは客観的に。

ハンフリー=ボガートとイングリッド=バーグマン。ナイスカップルである。現実にそんな組み合わせが存在するかどうかは別として。

舞台はフランス領モロッコだが、そこでナチスに迎合しながらも心は折れずに小さく抵抗を続ける市民の姿。ファシズムに対する戦時中のプロパガンダだろうか。

「君の瞳に乾杯」「そんな昔の事は覚えてないさ」「そんな先のことは分からない」など、とにかくセリフが寒い。今、そんなセリフを言ったら、周囲100メートルくらいが凍りつくだろう。


そして主観的に。

素敵だ。
とにかく素敵だ。

恋愛映画としてではなく、男のもろさとその奥にあるものを見つめる映画として。


男として、譲れない部分。守るべきもののために、普段は隠している男の部分。それでも最後の一線だけは譲れない。

 

男性諸君、「ラ・マルセイエーズ」と「署長」。この二つのキーワードを頭の片隅に置いて、ウイスキーでもやりながら観てくれ。


余談ではあるが、寺沢武一の「コブラ」はこの映画の影響を強く受けている。コブラ好きな方は是非。



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