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~古今東西の映画レビューを若干辛口で~
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65c81a72jpeg尊厳死。
生きることは権利なのか義務なのか。
愛情とは本人の意思に反して生かすことなのか意思に沿って死なせてあげることなのか。

息子のように愛するマヌエラ。
死なせたくないロサ。
一緒に死にたいフリア。

それぞれの愛情がそれぞれに重みを持つ。


自殺は罪に問われない。現代の法治国家では、原則として取り入れられている概念だ。
しかし、宗教ではそれを禁じている。
政教分離を唱える国家にとって、この矛盾をどう考えればよいのか。そう作品中では問題提起していた。

答えは簡単だ。
自殺幇助と他殺の区別をどうつけるのか。それが解決されない限り、尊厳死の問題は解決しない。

それでも、死を望む人がいて、それを助けたいと望む人もいる。


ラモンは言う。「僕を本当に愛してくれるのは、僕を死なせてくれる人だ。」

それはそうなのかもしれない。

法がどうこうではなく、自分が何を望むかが本人にとっては一番の問題だから。
それは周囲の人の想いを裏切ることかもしれない。何十年も他の事を犠牲にして彼に尽くしてきた人たち。純粋な愛情を注ぐ人たち。
それでも、彼の関心は自分が幸福であるかどうか、であって、周囲の人がどう思うかではなかった。

少なくとも彼の幸福とは、自分の存在をこの世界から消し去ることだったから。


邦題の「海を飛ぶ夢」。
原題は「MAR ADENTRO」。
『内なる海』のほうがしっくりくると思うのは僕だけではないはずだ。
空想で海まで飛ぶシーンにかかるのはトゥーランドット。
人の空想は果てしなく時間も空間も越えてゆく。

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adb579b4jpeg落ち着いた感じのする秀作。

トルコ人のおじさんとユダヤ人の少年の関係が、パリの裏通りとトルコの美しい風景とともに描かれる。

人種も宗教も異なる二人だが、見守ることを欲する心と見守られることを欲する心が出会った時に、こういった関係が生まれるのだろう。

ストーリー自体はこれといって抜きん出たものではなく、描写も同様なのだが、観終わって残る余韻がいい。とてもよくまとめられた作品だと思う。

週末にこれを1本だけ観るとちょっといい気分で月曜日を迎えられるかも。

76ff88c6jpeg典型的な中東映画。
暗い背景に暗い人間模様。
だけれどもそこには小さくても力強く暖かい気持ちが確かに存在している。

難産で母が死ぬ。
地雷で父が死ぬ。
弟は小人病。
そんな不幸が重なるなど今の日本では起こりえない。
だからこれはどこか距離感のある別の世界の物語だ。
それでも、それを小さく小さくまとめたような出来事なら僕たちの日常でもたくさん起こっている。そんな時に、彼らの十分の一でもそんな暖かい気持ちを出すことが僕らには出来ているだろうか。

大人であることを誇り、正しく生きることを誇り、後ろ指を刺されないことを誇る。
それが自分にとって恥じることのない生き方であればそれでいい。

ただ、もし、少しでも疑問を感じるのであれば是非、この作品を観てみることをお奨めする。

45da43b3jpegいい作品だと聞いていた。
なるほど。これはいい。

『笑われる』人間になりたいと僕も思う。
自分がいることで周りの人が笑えるならばそれが最高の生き方だろう。


「人に笑われるようなことをするな」
「うそをつくな」

そんな風に言われて何も考えずにそれに従って生きてゆくのはあまりにも悲しすぎる。


こんなドラマチックでなくていい。人生にほんの少しでいいからエッセンスを加えてみよう。

e926228fjpeg友情や人と人との関係がやわらかいタッチで綴ってある。そんな感じの映画。

北欧というと風景は想像できてもその生活習慣は不明な部分が多い。だけれども、人の根底にあるのはどの土地であっても共通している「人恋しさ」なのかもしれない。それが恋愛や友情を生み出し、嫉妬や憎しみを生み出す。

歳を取ったら僕はどういう人に囲まれて過ごすのだろう。もしかしたらこのまま独身であるかもしれない。そうなった時に僕はこんな関係を築けるだろうか。イザックとフォルケの関係ではなく、イザックとグラント、フォルケとグラントが続けたあの関係を。


心地よい余韻が残る作品だ。



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